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「トアホテル」は、当時の最新設備を備えた、海岸通りの老舗オリエンタル・ホテルと比肩する最高級ホテル(「浜のオリエンタル、山のトア」)として、六甲山のふもとにそびえ立っていました。屋根が明るい朱色をしていることを見ても非常に目立ち、ランドマークの役割を果たしていたのでしょう。そのホテルへと続く道「トアロード」と、当時の人々に自然と定着していったことが想像されます。
しかし、何故、ホテルが「トア」と名付けられたのか、そこに謎が残ります。この由来には諸説あり、主だったところでは、以下の五つの説が挙げられます。
英語説 - 岩山、小高い丘
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坂道「トアロード」
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「TOR」は、英語の発音では「トー」もしくは「トール」となります。言葉の意味は「岩山、小さい岩山」。
ホテルの登記上の名称は「ジー・トール・ホテル株式会社(THE TOR HOTEL COMPANY LIMITED )」だったといいます。徐々に、「トア・ホテル」という名称を使い始めますが、元々の意味合いとしては、丘陵の頂きに建てられたホテルにちなんで、「TOR」という名前を付けた、という説。
ドイツ語説 - 門
ドイツ語で「TOR」は、「トア」と発音します。言葉の意味は「門」。ホテルが開業するのは、開港後間もない時でしたので、神戸が日本の世界への門戸であることの意を込めたという説。
しかし、登記上の名称「ジー・トール・ホテル」を顧みれば、発音上に相違が生じます。
ホテル開業に出資したのは、英・独・米・仏の4カ国の企業連合でしたが、経営面においては、ドイツ人が取り仕切っていました。そのために、「TOR」の読み方、「トア」が定着していった経緯があるようです。そこには、当時の世界的な政治・経済の情勢が見え隠れします。
日本語説 - 東亜
「東亜」は、東アジア地域を指す日本語です。東洋一のホテルを自負していたホテル側も、積極的に「東亜ホテル」を用いていたといいます。また、戦時中「トアロード」も、当時の風潮から「東亜道路」と表記された時期もあります。そういった多重の意味合いから、「東亜」が由来とも考えられるのです。
鳥居説 - TORII
「トアホテル」のマークは、鳥居がデザインされたものでした。庭内にも、鳥居が祀られており、現在の「神戸外国人倶楽部」にも、鳥居があります。
そのTORIIのスペル、最初の3文字をとったと言う説。
残念なことに、名称の由来とされている「トアホテル」は1950年(昭和25年)に焼失し、また、その由来の確たる証拠となるような記録・文献も定かではありません。
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トアロード最北端に「AG1890」の碑
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それでも、「TOR」の響きに導かれた、このそれぞれに謂れを持った説が物語るのは、国際性に彩られた当時の情景であり、まちづくりを担っていた各国の人々の諸相です。
神戸らしい成り立ちを持つ「トアロード」。浜手から山手を結ぶ一直線の坂道は、その形を変えず、人々の歩みの絶えない場所として現在に至ります。
参考文献
弓倉恒男著「神戸トアロード物語−その名の謎に挑む−」
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